どうでもいいこと
Giton

どうでもいいことなんだけど、
おれが死んでも君は悲しまないことに決めようじゃないか、
あとで君に約束させるのはぜったいに無理だから、
いまのうちに約束しとくんだ、

そうすると、ある日仕事帰りに電車のなかでうつらうつらしてたおれは、
そのまま目覚めなかったとする、
面倒がないように地下鉄にしよう、
トンネルが落盤して、そのまま電車もろとも埋もれてしまうんだ、

遺体も出ない、墓を造ったってそんなものは気休めだ、
そこで、きみは約束どおり涙も出さず、
おれの親兄弟が葬式したって行きもしない、
...それでこそ、おれの生涯ただひとりの人だ、愛してるぜ...

おれがいなくなった以外はいままでどおり、
きみは仕事もし、恋もする、きみの記憶のなかに
おれが格納されていることは否定しない、
きみのなかのおれは、きみが死ぬまで君といっしょだ、

しかも君の生きて行くのに応じて、きみのなかのおれも変化する、
おれが生きるのをやめるのは、きみが死ぬときだ、
だから、おれはそうやって生きて行こう、
おれが生きているときも、死んだあとも。


自由詩 どうでもいいこと Copyright Giton 2009-02-17 04:32:45
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