夕焼け
ことこ

血のかよう夕焼けを深海魚がよこぎる
ひたり
ひたり

胸びれを動かすたびに
その下で影踏み鬼をしている子ども達も
走り回ったり
息を休めたりする


ブラインドの隙間をかいくぐり
こちらまで余波が届くので
壁に飾られていた写真がふやけて
部屋の中を漂っている


私はそれを
一枚一枚つかまえては
アルバムの空いている箇所に
年代順に並べる


波打ち際の巻貝の貝殻が
部屋の隅に積み上げた
段ボール箱と共鳴した


自由詩 夕焼け Copyright ことこ 2009-02-16 19:20:34
notebook Home