無力化
高橋魚
舟、
から落ちた
青年の眼は
右往左往し
私に助けを求めた
私は
まるで彼だった私を探し
見つける
見つけたのだが
すでに、息をしていなかった
死んでいたのだ
死んだ体ではわからない
生きている体の感じることなど
わからないのだ
しかし、
彼も死んでゆく
そのことだけが
私にはわかるのだ
自由詩
無力化
Copyright
高橋魚
2009-02-16 18:02:23