ひとのきかん
ことこ
耳のようなかたちをして
母のおなかの中でうずくまっていた
そのとき私は
ひとではなかったが
確かに
ひとの一部のかたちをしていた
二十歳の誕生日に
ストローの束をもらった
もうすぐ
足と手が生えてきたら
尻尾がなくなってしまうわねと
母はさびしそうに呟いた
帰省すると
いまでも
玄関には
空の花瓶が飾られている
母は
ひとではない私の帰りを
待ちわびているのだ
自由詩
ひとのきかん
Copyright
ことこ
2009-02-15 18:37:10
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