『その後』
東雲 李葉

横たわる白い身体に
そっと 口づけを
愛しいと感じるだけの
幼い気持ちを吸い込んで
冷ややかな速度で萎む想いを
止めることが出来なくて
愛している、と熱を持った言葉も
今はこんなに頼りない


出会って 恋に落ちて
幾多の困難を乗り越えた
その物語の主人公は
確かに 君と僕のはずだったのに


疲れてしまっているんだ
演じることにも観ることにも
もう第三者に戻りたがってる
僕は舞台を降りるよ 後は君の独壇場だ
安い台詞を吐きながら
お姫さまに傅く僕
王子さまにはなれなかったよ
後は一人で踊っておくれ


何を考えることもなく
つっ立ったまま動くことなく
今更役を替えてくれなんて
虫がよすぎる話だろう


今すぐ舞台の後ろの方で
二人の行方を見据えてる
ただの背景になりたい
主役なんて柄じゃないんだ
王子さまにはなれなかったよ
できることなら今すぐに
君を置いて逃げ出したい
雪が降る城下町を
たった一人で駆け抜けたい

腰に据えてる王剣が
ずしり と重く
その存在を誇示している
そんなささやかな重しによって
僕は舞台に止まらされる
冷たい身体に口づけを
今でも君は美しいけど
悪い魔女の毒林檎を期待している僕がいる


自由詩 『その後』 Copyright 東雲 李葉 2009-02-15 13:52:45
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