鳥人間
ことこ

はるばる仙台から
鈍行列車で
故郷のうみに帰ってくるのだと
彼は言った

熱弁をふるう彼の
口から
指先から
瞳から
いまにも鳥が飛び立ちそうで

私の脳裏にはもう
彼の設計図が軌道を描く様が
見えていた

それが
一昨年の夏のこと

そして
ようやく
彼の待ち望んでいた年が明けて
鳥人間は
翼を広げる前に
墜落してしまった

故郷から遠く
仙台より
ついえた彼の夢が
飛行してきてはいないかと
ふと
うみの上を探す

そこにあるのは
ビッグウェーブなど知らぬ
いつも通りの
穏やかな水面だけだった


自由詩 鳥人間 Copyright ことこ 2009-02-13 19:01:04
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