斑鳩
音阿弥花三郎
斑鳩の飛ばぬ夕べがあり
甍の高いこの寺は崩れる
僧どもは眼病に侵され
いまだ訪れぬ仏達を信じ得ぬ
在り得ぬ時代の熱い聖地で
禁断は男や女の喜ぶ寝床
夜は過去の阿闍梨を招くのだ
彼の行いを覗くために
濡れる千畳の畳
千の襖は破られるのを待つ
仏像の視線のかなたを見よ
沙羅双樹の中の女
珊瑚虫を繁殖させる男
弥勒の腕を盗んだ彼らの夜
自由詩
斑鳩
Copyright
音阿弥花三郎
2009-02-13 11:06:25