『白夜』
あおい満月
ひとつ、ふたつ、と、あなたは
錠剤の粒を数える
明日を待てずに、夜を待てずに
ひとつ、ふたつ、と、あなたは
舞いおちる煙草の灰を数える
線香の如く滅び落ちていく愛を
指先で留めるように
風に舞う花弁を空中で拾うように
ひとつ、ふたつ、と、わたしは
過ぎていく駅のホームを数える
今日という日を残すために
生まれたての想い出を
なぞるように
列車は 明日という闇へ走っていく
白い夜を不動にして
2008.5.6
詩集・『失調症』より
自由詩
『白夜』
Copyright
あおい満月
2009-02-13 10:14:34