『鏡』
あおい満月

 誰も何も
 映さない鏡
 昨日も明日も
 今この瞬間も
 映さない鏡が欲しい
 何もかもが
 映り込みすぎて
 息が苦しい
 誰も何も感じずに
 通り過ぎていくだけなら
 不透明な現実は
 いらない
 何も映らない
 透明な硝子が欲しい
 わたしの手鏡は
 口を半分開けたまま
 ポーチの奥で
 眠っている
 肌色の歳月を
 垂れ流しながら
 

 コレ以上何モ見タクナインダ

                   2009.2.12(Thu)


自由詩 『鏡』 Copyright あおい満月 2009-02-12 15:49:48
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