少年と海
北村 守通
真っ黒な海底と目が合った
真っ黒な海底と目が合った
白い太陽は呆気にとられ
手を差し伸べることさえ忘れていたらしい
真っ黒な海底と目が合った
岸辺は
濁った水に覆われた
砂浜では潮干狩り
濁った水に覆われた
潮干狩り
濁った水に覆われた
舌は
濁った水に覆われた
視界は
濁った水に覆われた
覆われた
そして
真っ黒な海底と目が合った
時間が
記憶が
呼吸が
魂が
真っ黒になった
静かに引き揚げられた
少年の躯
世界の果てを見てきた
真っ黒な海底を見た
少年の躯
少年の
躯が一つ
砂浜に転がっていた
でしゃばり屋の白い太陽が
目覚まし時計をかって出た
シャン!
シャン!シャン!シャン!
シャン!シャン!シャン!