しろい
木屋 亞万

ふあ、こん、ふぁこん、
ふあ、こん、ふあぁこーん
真綿にマシュマロの杭を打ちます
憂鬱、あんにゅい、少女の小さな額が、前後運動


ぴゆ、ぴゅゆ、ぴゅるるるるるるるう
ひゅっるるるるっるう、しゃるるるるーん
カーテンで作られたロープが通過していきます
少女の、目の前、前髪を揺れる、わずかに静電気


すたた、たたた、たたーん
ぐにぐに、ぐにり、ぐにーん
折りたたまれた布団の階段を登ります
細い手、桃色の爪食い込み、かかと、沈んで


ちる、わ、ちちわ、ちこん
ちゅつ、ととけ、こここちた
白い雀が肩にとまります
ワンピース、硬質な布の光沢、新品の窮屈な型、折り目


むで、むぬどふげ、ぶ、ぼぶ
じぶぶ、どぐん、ぼでら、ぽじゅ
白いあぶくが、湯気が、霧が、霞が、雲が包みます
粘り気の強い泡、微細な水の粒、白い髪に水滴の群れ


さぶ、しどばば、こびゅ、ずふ
ざぼ、じす、すへ、はっは、わは、
中指から手の甲、肩まで白い羽が生えます
腕からの風に、目を細める、渦巻く白い気体


あ   、ぁ  、ぃ  、
、   え、   、ぃ   、
白い少女は風景の中へ同化していきます
白い布団は沈む、泡がゆっくり弾ける、景色は濃く白んで
輪郭がなくなってゆく、文字がないので、声がないので、白い
白い目の瞳孔だけ赤い、そこに一滴の血があれば、あるいは


白い雀の声が聞こえた気がして、真っ白



自由詩 しろい Copyright 木屋 亞万 2009-02-10 03:13:06
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