[ノスタルジィ]
東雲 李葉
ノスタルジィ 囁いて
枯葉の音 季節を忘れる微熱と共に
変わりゆく景色を愛さないで
あなたが名付けた小道を辿れば
いつでも会えると信じていた
行き交う人々が私を見ている
思い出に捕われもがく私を
嘲笑っている けれど誰かは
呼んでいる 今では遠くなった場所
囁く声は優しいようで
冷たく熱い故郷の町並み
呟いて ノスタルジィ
思い出を返して 枯れる花の萌芽の音
立ち止まる景色をかき消して
名の無い道を踏みしめたら
もうあそこには帰れない
行き交う人たちは忙しそうに
誰も私のことを知らない
笑ってしまう だから私は
淋しくなる 今の私に近しい住処
呟く吐息は芯まで白く
あなたを知らない異国の呼吸