[ノスタルジィ]
東雲 李葉

ノスタルジィ 囁いて
枯葉の音 季節を忘れる微熱と共に
変わりゆく景色を愛さないで
あなたが名付けた小道を辿れば
いつでも会えると信じていた
行き交う人々が私を見ている
思い出に捕われもがく私を
嘲笑っている けれど誰かは
呼んでいる 今では遠くなった場所
囁く声は優しいようで
冷たく熱い故郷の町並み

呟いて ノスタルジィ
思い出を返して 枯れる花の萌芽の音
立ち止まる景色をかき消して
名の無い道を踏みしめたら
もうあそこには帰れない
行き交う人たちは忙しそうに
誰も私のことを知らない
笑ってしまう だから私は
淋しくなる 今の私に近しい住処
呟く吐息は芯まで白く
あなたを知らない異国の呼吸


自由詩 [ノスタルジィ] Copyright 東雲 李葉 2009-02-09 20:44:08
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