異形の季節
はなびーる

髪を肩の上で切った
さらさらと春の風に遊ぶように
前髪はまゆの5ミリ上
広い空が見えるように


あらゆるものが芽吹き始める
一週間で空の色は変わっている
恋に似た気持ちを
だれかに向けてみたい


見馴れたはずの月も
ふいを突かれた時は
なぜ、いつも新鮮なのだろう
はっとするほど


秩序から無秩序へ
世界はバラバラにほどけてゆく
そう思っていたけれど


でたらめのパーツでも
ポケットににぎりしめて
修復するために出かける
新しい人にパーツを渡す


偉大な魂のことを思う
さすらいの旅の果てに
人々の喜びと苦しみに出会い
こころの水脈にたどり着いた人


でたらめのパーツをくっつけて
ゆがんだフレームでも気にしない
わたしは世界を修復する
何度でもあきらめずに、新鮮に


春は異形の季節なのだから
恐れることはない
もう何も





自由詩 異形の季節 Copyright はなびーる 2009-02-08 18:54:55
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