退屈な女の子のための病院の廊下
K・フラグメント

人工コスモスの隣には
乱れたシーツのような砂丘があった
日光の幻影を
砂の中に溺死させようとして
仮定法過去は無駄使いされる
機械音の聖書を寝息のそばに


星座模様のウイルスたちが
ゆっくりと浮遊する空中を
夜の番人が凝視する
自意識の緩衝地帯は
コーラ色の歯痛する
良心の棲みか


しかし夜は終わる
夢は突然に終わる
すべてを断ち切るその光
あまりに眩しく、立体的な地上から
低速のエレベータは
逃げ出したがっているのに
(エレベータに乗るのはもういやだ)
わたしたちは今にも消えてしまいそうだ
雪原の永遠を攻撃する
三滴の血液のように


少女が現れるとき
一つの曲がり角で始まる屍色の壁よ
発狂した回転扉のように
くるくると回りつづける女の子の退屈から
待合席の病人たちは視線を逸らす
自分は回転していないと信じるために


自由詩 退屈な女の子のための病院の廊下 Copyright K・フラグメント 2009-02-08 04:44:28
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