雨の日の失敗
湾鶴
帽子の先から
玉の映像
ゆっくりと
重力に乗り
顔の岬
合羽の隙間
船で抉りとられた芝生へと
瞬間劇場
ふぉ と ほと ほと
なにをすべくこともなく
なんのすべくこともなく
雨垂れを目に映し
寒雫で手の甲はかゆく
小指はとれてしまったらしい
ふいに
無線で呼び止められ
帰るべき場所を思い出した
毛羽立ったタオル
クチビルの乾くような暖房
そして哀れむように流された視線に
日常へと帰る場所を
まちがえたことに気づいた
自由詩
雨の日の失敗
Copyright
湾鶴
2003-09-19 23:13:21