腐った童話
木屋 亞万
レンガ造りの建物立ち並ぶ前で身を寄せ合う車列の上を裸馬が闊歩していく
車の天井は踏まれるごとにひび割れ、蜘蛛の巣が広がる、金属を擦り合わせた甲高い音響
魔女が窓ガラスを割る呪文を唱え、音に驚いた秘書は社長にコーヒーをかける
事務員が手の甲に判子を押してしまったので、彼の手の甲は極秘事項に認定されてしまった
レンガ造りの町並みを息で吹き倒そうとする狼が気管支炎にかかってしまって
医者にかかっている、もっと栄養のあるものをと豚の看護士を処方された
自転車は肉食かと聞かれて、油しか食べないと答えたら骨抜きにされた車輪は
豚の看護士の体重にひしゃげた、雪の坂道ではその方が早かったので塞翁が馬
コーヒー臭い社長が高級車から降りて社内機密の事務員の手の鑑定を依頼しにきた
引きこもり気味の魔女はどもりながら、また窓ガラスを割る呪文を…
窓と天井が割れた高級車に乗りながら、秘書はそっと処女になる
裸の白馬に欲情し、老いた狼を膝の上に乗せている
豚の看護士は食べられる部位が無くなって、自転車とともに車の脇に捨てられている
社長は社員の手を使って魔女の乳を揉む、引きこもり魔女は秘書を呼び
鼻息の荒い社長を馬にする許可を取る、狼は魔女の部屋の鹿の剥製に齧り付く
社員の手は極秘のまま生きた伝説となり、博物館に飾られることになった
関節的な乳揉みを求める一部の熱狂的な魔女愛好家と、日々握手を重ねている