知命〜take leave of my senses〜
伊月りさ

胎内で飾られた
くるわない羅針盤が
まだ胸で光っているのがいけない

この先を覆っているものが真白い羽根なので
どうにかなると思っているのか わたしは
この発電器が雨にうたれて
錆びていくのを眺めている

  たとえばひとりになってごらん
  信じているだけの約束が
  やぶられたときを思ってごらん
  くるって、そして気づくだろう
  羽根の集合が鳥ではないこと

母のコミュニケイション
父の螺子ディスカッション
体液がタプタプだ、この
羅針盤を胸にさげ
道路を開発するのなら
欲望のままに回転させて
感電したほうがいい、きっといい、

  そんなに日向に出てほしいのなら紫外線ぐらい殺してよ
  って、むちゃくちゃなことを言ってたが
  わたしがしたのは契約か
  って、きみの目を見て気がついた

感電したい、
感電したい、
雷を呼ぶ 開襟をして
この幸運を燃やされたい、

叫ぶほどに雲が減る 空が
澄んでいるのは鳥類のため
わたしは大地を感じもせずに
五ヶ月ぶりの着火と破棄で
卵子と精子と主流煙を
混ぜる ひとり で
砂鉄のような 灰が
落ちる
灰の行方を知っている


自由詩 知命〜take leave of my senses〜 Copyright 伊月りさ 2009-02-07 23:03:27
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