春待ちのうた
遊佐





凍てついた太陽の下で僕は笑えずに
澱んだ空の隅っこに温もりの床を探す
それは冬のこと


日向に微睡み
夢見心地に酔いながらねえ…
ずっと、そっと
人知れず
浮かんだままで居れたらいいのにね
(僕は晴れ間に春を浮かべるんだ)

静かに、ねえ
大地を知らない無垢な風に
ふわり漂いながら
眠るのさ
雲の絨毯の上
夢を枕に
(君もおいでよ、この空に浮かんで…)


身を寄せる人も無いけれど
くるまる毛布さえ無いけれど


夢をみよう…


空はいつだって
僕の頭の上に在る
何処へ行こうとも
僕はいつだって
この空に果てしない想いを描いて行ける


そして
僕が描いた夢は
誰かの(うた)となり誰かの(こえ)となり凍てついた心に温もりを育んで行く


そして
いつかまた誰かが
ふわり浮かんで
タクトを振りかざし(指揮者となって)
音楽が流れて…


夢を…、夢を…と、囁きながら
無数の天使が舞い降りて来るのさ

錆び付いた天国の扉をこじ開けて


凍てついた太陽の下で僕は笑わずに
夢を見る

澱んだ空の隅っこに
今日も温もりを探し求めて━





携帯写真+詩 春待ちのうた Copyright 遊佐 2009-02-07 12:33:01
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