「 でも蜜柑を包む手はいつだって五つに裂ける。 」
PULL.







こたつの中で寝息を立てるあなたを今夜蜜柑のように剥いて。

口移しに食べる蜜柑あたたかいあなたの体温を味わう。


乱暴に蜜柑のへそ突き破るあなたの指じっと見つめるあたし。

噛んで袋だけぺっと捨てるそんな風に何人捨ててきたの?。


きっとすっぱくなるって判ってるだけど口にせずにはいられない。

離さないで…でも蜜柑を包む手はいつだって五つに裂けるから。


眼を閉じて裂けてしまったあなたの中で流す涙は蜜の味。












           了。



短歌 「 でも蜜柑を包む手はいつだって五つに裂ける。 」 Copyright PULL. 2009-02-06 18:24:28
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