ひらく
かんな
やさしく泣ける理由を
さがしている
冬は、つめたく
懐かしむものなどないけれど
遠く、とおくを見る
いつまでもみていられない
ゆめを見ている
眠れない夜はつきが恋しい
溶けるおもいが
こぼれていくことは
両手でつかまえられるほど
たやすくないけれど
この空がめくられたとき
あすに触れることはやめない
渇いたくちびるで
あなたにおくる歌を口ずさんで
欠けたつめをはじくと
さみしさはいっときだけ
すがたをかえる
しだいにまぶたが熱をもって
やさしさが溶けだす
とめどなくながれて
せかいのどこかでまた出あうから
ふるえる指で描くみらいは
それほど遠くない
きっとこの冬が溶けだしたなら
とじかけたまぶたは
あたたかに、はなひらく