ひらく
かんな


やさしく泣ける理由を
さがしている
冬は、つめたく
懐かしむものなどないけれど
遠く、とおくを見る
いつまでもみていられない
ゆめを見ている

眠れない夜はつきが恋しい
溶けるおもいが
こぼれていくことは
両手でつかまえられるほど
たやすくないけれど
この空がめくられたとき
あすに触れることはやめない

渇いたくちびるで
あなたにおくる歌を口ずさんで
欠けたつめをはじくと
さみしさはいっときだけ
すがたをかえる
しだいにまぶたが熱をもって
やさしさが溶けだす

とめどなくながれて
せかいのどこかでまた出あうから
ふるえる指で描くみらいは
それほど遠くない
きっとこの冬が溶けだしたなら
とじかけたまぶたは
あたたかに、はなひらく



自由詩 ひらく Copyright かんな 2009-02-04 22:33:00
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