スピードとスポーク
Anonymous

回転する車輪。

スピード。

スポークは隣のスポークに溶けスピードを醸成する。

ちびくろさんぼのタイガーがバターを醸成するように。

スピードを有している僕は

その構造を知る由もない。


・・・


疾走する想い。

愛情。

気持ちと理性は溶けて愛情を醸成する。

ちびくろさんぼのタイガーがバターを醸成するように。

もう、怖いタイガーも忘れ。

愛情を有している僕は

その構造を知る由もない。


・・・


スピードを失って


僕ははじめてスポークをみる。

その構造を知る。



愛を失って


僕ははじめて現実をみる。

その構造を知る。


・・・

人には


物語をはじめないだけの理性がある。


でも

始まった物語からは喪失という儀礼を介さないと

それから自由になることはない。


・・・


動き出したスポーク。
動き出した気持ち。


僕は知っている。

それを失わなければならないことを。

僕は知っている。

どうやったらそれがつらくならないか
そんなこたあ
いつまでたっても

わかりはしないということを。


自由詩 スピードとスポーク Copyright Anonymous 2009-02-04 20:53:54
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