傘
あ。
さっき雨があがったみたいだ
まだ雲は多いけれど
隙間から光が覗いている
さっきまで色とりどりの傘で賑わっていた風景は
家路へ向かう早足の靴音と
閉じてしまった傘の申し訳程度の色彩がちらほら
降ったり止んだり
まったく落ち着かない天気だ
そんなつぶやきもよそに
ぽたぽた落ちる雨粒や光
人工的な色彩の数々は
当たり前に美しくて
もやもやしているのも馬鹿らしくて
すんと鼻を小さく鳴らすと
水たまりを蹴って走った
恥ずかしくて結局させなかった
派手すぎる傘を小脇にかかえて
自由詩
傘
Copyright
あ。
2009-02-03 18:12:28