星宙間をゆくキャラバンの宴
相馬四弦

ひとつの瞬きの中の
帷の綻びから深遠を見つめる少年の
そのはるかな頭上を


商隊が騾馬に荷車を牽かせて
かぽかぽと銀河のほとりを迂回してゆく
どこか遠くの ずっと若くて活気のある星団へ
時の砂つぶを売りにゆくのだ
鷹避けの笛を吹き鳴らしながら
宙天を走る彗星の灯の
どこまでも遠い白に導かれる
今夜は砂漠を越えて シリウスの麓に宴を開いた
桑の木の枝にランタンを吊るして
蚕豆を羊のミルクで煮込み 仔鹿の干肉を炙れば
その幸せな香りは
千億が瞬く渦の中へと吸い込まれてゆく
月の双子が歌い踊り 郷里を想うシタール
その幸せな音色は
千億が瞬く渦の中の
ひとつの瞬きの中から
ちいさな夜を見上げる少年の瞳に吸い込まれてゆく








自由詩 星宙間をゆくキャラバンの宴 Copyright 相馬四弦 2009-02-03 13:36:44
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