残響
風音

1
そんな風に眠ってると
まるで猫みたい
体を丸めて
背中がゆっくり動いて
でも
これは過去の記憶

2
涙って
涸れることがないのね
いつまでも流れて
ほら
スープが薄まってしまった

3
さよならの記憶も
まだ生々しいのに
ひとから見ても
のんびりして見える
物事って
見かけ通りではないのに

4
好きなものは風
そして空
遠く流れる雲
進んでいく飛行機雲
そんな小さな秘密
誰に話すでもなく
でも そっと
こころのなかに
しまっておくの

5
辛いことの後には
幸せが来るって
明けない夜はないって
そんなの興味ない
全然そうじゃなかったもの

6
いつだって
平気な顔して生きてきた
1人のときと
他人むけの顔と
でも
誰だってそう きっと

7
神さまって
いると思う?
私は少し信じてるらしいの
助けて、神さまって
祈ることがある

8
冬がとけて
もうすぐ春が来る
花咲き乱れる春が
でもこの冬が終わるのがこわい
時に
小さな子が母親をこわがるように

9
あなたを今
抱きしめたい
遠く もう 遠く
二度と会えないあなたに
話すことなんてない
ただ
あなたを抱きしめて
離したくないだけなの

10
この胸のなか
さよならの声が
まだ鳴り響いている
オルガンでひく
最後の音色のように


自由詩 残響 Copyright 風音 2009-02-03 11:44:36
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