父さん、殴れ
構造

父さん、殴れ
瓶がばかばか落ちている
どろっとした内容物は
ふくらんでいる
覗き込んでは
ぱんと破裂する
太鼓をたたく
父さん、殴れ
棒がぼろぼろ落ちている
虫がたくさん食っている
繊維質のスキマから
複眼がのぞく
もちあげては
落ちてくる
ボロボロロ
太鼓をたたく
父さん、殴れ
わかっているよ
すでに汚辱にはまみれたんだ
てをにぎったものすべてが
ふきすさぶ塵すべてが
かれらを汚しては
すぎさっていき
かれらを清めるものといったら
自分のふたつの腕しかない
そしてその腕で
太鼓をたたいた
瓶はばかばか落ちている
酒を飲み干したんだ
食い荒らし食い荒らし
加速して
木屑になっていく
棒が折れる
太鼓をたたく


自由詩 父さん、殴れ Copyright 構造 2009-01-27 02:11:04
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