水色の雨
百瀬朝子
ある真昼、
水色の雨が降ってきた
空は色を失くして灰色だった
色のついた雨はあたしに降り注ぎ
あたしの心の
色のない部分を染めていく
孤独は色を持たない
だから染まる
穴ぼこを埋めるのは
砂でも水でもかまわないけど
孤独はたやすく埋まらない
だから染める
一時凌ぎの容易な手段
色づいた孤独は、もう
孤独ではなくなるから…
そのかわり、色づいた孤独は
より深い深い穴をつくった
愛する人と寄りそってわかったこと
愛する人が愛すべき人へと変化を遂げること
かけがえのない存在が
孤独を埋める
水色の雨はもう降らない