冬の日に贈る即興詩
山中 烏流
遠ざかる木枯らしに
鉛筆が舞っている
私が前髪を切った午後
小さな窓辺の話
反射した日差しが
溜まりになって、揺れる
それは、限りなく白い/暖かい
まるでまっさらな
例えるなら、夢のようだ
ざわり、
逆立つ岸辺
瞬きの度に訪れる赤が
何故だか、懐かしい
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子猫のような素振り
構われることに慣れる度、
その当たり前を知る
知ることは
必ずしも、と言ったことが
確かにあった筈で
私に向けられているそれは
きれいで、美しく、こざっぱりとした
上辺という嘘だった
信じるものは毛布と枕
眼鏡越しの視界だから
そう思ったのかもしれない
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手を握る
高台から臨む色は
何よりも、変わらない
写真で白く見えたのは
何故なんだろう
恥ずかしがり屋だから
顔を隠してしまったんだろうか
飴玉を転がしながら
雀の声を聞いた
細くたなびく雲になりたい、と
願っていたことを
話したとしたら
あなたは、怒るだろうか
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