オーバー
カチキ

ほんとは12才で死んでたよ
でも13年も多く年をくってしまったよ

その間に二人殺したよ

越えた13年より生きた12年の方がよっぽど人間だった

どうしてあの時近所のアフロばばあは腕を引いたのか

五階建ての蜂の巣団地
汚い雪が積もってた

柵を乗り越えダイブの予定が
なぜだか今こたつの中



神に生かされ運にまかせて
そんなかっこのいいもんならまだしも

アフロのばばあに生かされたなんて




なぜだか泣いて生きろと喚いた
最後は生きてと懇願された


家に連れてかれこたつで昆布茶をすすった


ばばあは「こんにちわ」しか言わないバカインコがかわいいのって
そんなどうでもいい話をしてくれた



蜂の巣団地はもうないし
アフロばばあはもう死んだ


感謝なんかしてない
死んでから会いたいなんて思わない



ただこんなに寒くて雪をみると
予定もしてないのに涙が流れる


あの時なんにも思わなかったばばあの手が
あんまりにもぬくかったことを思う


自由詩 オーバー Copyright カチキ 2009-01-26 05:21:43
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