オーバー
カチキ
ほんとは12才で死んでたよ
でも13年も多く年をくってしまったよ
その間に二人殺したよ
越えた13年より生きた12年の方がよっぽど人間だった
どうしてあの時近所のアフロばばあは腕を引いたのか
五階建ての蜂の巣団地
汚い雪が積もってた
柵を乗り越えダイブの予定が
なぜだか今こたつの中
神に生かされ運にまかせて
そんなかっこのいいもんならまだしも
アフロのばばあに生かされたなんて
なぜだか泣いて生きろと喚いた
最後は生きてと懇願された
家に連れてかれこたつで昆布茶をすすった
ばばあは「こんにちわ」しか言わないバカインコがかわいいのって
そんなどうでもいい話をしてくれた
蜂の巣団地はもうないし
アフロばばあはもう死んだ
感謝なんかしてない
死んでから会いたいなんて思わない
ただこんなに寒くて雪をみると
予定もしてないのに涙が流れる
あの時なんにも思わなかったばばあの手が
あんまりにもぬくかったことを思う