風景
長元坊


自転車に乗って
切り裂く無限がいとしい

風と共に過ぎ行く人の
寂しげな拒絶がいとしい

どこかへまっすぐに突き進んでいく
私のありあまる馬力がいとしい

どこかへ行き着くために生まれ
都市のカオスと
閉ざされた視線の旅路が
このまま果てしなく続くとしても
私にはこの風景がいとしい

たとえば街の片隅で
手をつなぎ歩く母子の姿があり
心のどこかでそれを奇跡と感じながら
奇跡を生み育んだ風景の中を
信じて走りつづける

向かい風と共にくる
旅人のあなたへ
まっすぐに走る


自由詩 風景 Copyright 長元坊 2009-01-21 15:04:38
notebook Home 戻る