[乱心]
東雲 李葉

想いを言葉に出来ないもどかしさ。
例えば、素晴らしい詩を読んだ後だとか。
人生に衝撃を走らせたそれを表現する術を拙い僕は持っていない。

情報の海を泳いでいく。
波をかき分け目的もなく彷徨っている。
したいことは沢山ある。でも知らないことはもっともっと沢山ある。

詩は歌に勝てないのではないかと疑っている。
言葉だけでなくメロディでも伝えられる利点は大きい。
僕がありったけの声量で叫んだなら言葉はどこまで届くだろう。

題名の無い詩しか詠えない。
自分が何を書いているのか自分でさえも分かっていない。
けれど「無題」の文字は淋しいから無理矢理まとめた言葉に押し込める。

意味とは事物の中身のことか。あるいはそれの運命か。
きっとどちらでもない。僕の意味は残念ながら誰にも計り知れない。
僕は苦しむ。胸に渦巻く煙のような想いを表わすことに。
僕は考える。僕という箱の中身について。何回も何回も空箱を放り出して。

僕は叫んでいるのか。それとも静かに詠っているのか。
僕の心は求めているのか。与えたいと望んでいるのか。
リズムや比喩を駆使して完成した連なりこそが詩なのか。
語意も語順を関係無く叫びを表わしてこそ詩なのか。

見せることを意識するから詩なのか。
吐き出すように伝えるから僕はこうして叫ぶのか。
終わりが無いから迷うのか。
いっそ咽喉を断ち切って詠えなくなるのもいいかも知れない。


自由詩 [乱心] Copyright 東雲 李葉 2009-01-21 08:38:03
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