いちばん遠い人
蒼木りん

いちばん近いのに
いちばん遠い人と
言うあなた
まさか
私のことだと思いたくはなかったけれど
そのようだ

そっくり
その言葉
お返しします

あなた
私のなにを分かっているのか

お望みの慰めをしてあげるのが
近しい人の役目なのか
役目を果たしてくれればそれは
都合がよいね

私のなにを分かっているなら
私はあなたのなにも
わかってあげられるだろう

慰めは
自己満足でもあるのじゃないか

自分の物差しでしか
自分の計量カップでしか
測りきれない人には
私のこころはわかるまい

私は分度器
私は温度計
私はあなたの鏡
だけど
私はあなたを映す鏡にはなりたくない

あなたは
私の中に自分を探しているだけだ

私は私であるのに


自由詩 いちばん遠い人 Copyright 蒼木りん 2009-01-20 22:50:18
notebook Home 戻る