ああ、
(悪)
重苦しいんだけどね。非常に。
けど、うん。辛いやろ。お前も、それに俺もだ。
惰性のみで続く関係っつうのは、それこそ結婚うん十年経つけれどいつの日か冷え切っちまった熟年夫婦みたくドロドロしてて、それでもって、ネトネトしてる。
そこから一歩踏み出したいのに、思うように足が進まない。歳月という粘液がそこらじゅうに広がっているからだ。
こうなっちゃあ、いけない。
お前にはお前の、俺には俺の、大切にしたい奴だとか、大事にしたい関係だとかが存在してる。少なくとも、その対象がお互いじゃない事は確か。そうだろ?
腹の中を探り合っているうちに歩み寄れなくなって、傷つけ合って、それでも離れていけなくて、互いの距離を見詰めながら足踏みしてる、そんな没意義としか言いようの無い関係は続けていくべきじゃない。
気付いているだろ。タイム・リミットだ。
終わらせるべきところは、キッチリ、それこそ、完全に。それでいて、完璧に終わらせなければならない。
同じ事を何度も繰り返すワケには、いかないんよ。
だから、いいか、俺はこれからお前にきっと酷い言葉ばかりを浴びせる事になる。お前はただ、俺を、徹底的に、嫌え。
そうなれば「きっと」「また」「いつか」なんて言葉は、出て来ない筈だから。
屈折していようが何だろうが、これがお前に掛けられる、俺の最後の優しさだ。
(adieu.)
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