百鬼夜行詩 <7>
nonya



雪女


もうそろそろ思い出して欲しいの
あの冬の日の美しい青年も
今じゃ肉色の雪だるまで7人の子だくさん
どうにも暑苦しくて耐えられないわ
今年も余計に雪を降らせてやったけど
あなたはゴルフに行けないと不機嫌なだけ
いっそあの時凍らせとけば良かったわ





逢魔時(おうまがとき)


西の山にお天道様がめり込むと
ひび割れた現から魔が滲み出す
人の中の潮が微かにさざめくと
聞きつけた魔が背中に忍び寄る
明と暗の束の間の抱擁の果てに
溢れ出す魑魅魍魎の闇の闇を
腹の底から畏れるがいい






自由詩 百鬼夜行詩 <7> Copyright nonya 2009-01-19 19:12:30
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