神の家訪問
生田 稔

神の家訪問

●神の家訪問1月十二日

真冬朝観光バスは出発す

黎明の第二名神朝すがし

山道を伝ってゆけば家ありて

鴨が二羽帰るや発つや寒空に

ガイドなく妻が口調の冬景色

二つ三つ山越え行けば雪消えて

ガラス越しバスの外なる冷気

行く先は教会本部べテルとう

山深き道にまばらに雪は降り

雪景色明け方車道走るバス

朝ぼらけ少々の酒身を熱す

白銀の山や野原の続く道

初しぼり新酒と妻とわれは行く

朝焼けの山里静か明けにけり
   (公子作)
空くもり車は速し小雪舞う

朝焼けの里は静かに小雪舞う
   (公子作)
海端に白い煙が冬の空

黄黒の雲わけ見ゆる睦月空

浜名湖や静かな面に陽は照りて

雲群れて陽のおぼろなる一日や

古きより陽は神のお顔なり

陽の路や神の家へとバスは走す

一面の茶畑一面の茶畑菊川

駿河来て富士の姿ほの見える

雲多く富士の頂目とどかず

雲の間に富士見えにけり松の内

車路左手に見ゆる富士睦月

山々山山にかこまる冬裾野

雲白く風吹きわたり冬の山

山峡をバスは進みて枯れ木晴れ

青い空白い雲間の冬晴れよ

晴れし日は冬日も楽し唐崎衆

遠き山かすみ霞て枯れし町

歌を止め俳句となりぬこし秋より

海老名まであと6里なり冬の旅

永遠の命を知りし冬の家

神の家べテル記念の桜枝

家に着けばこの枝絵に描かむかと

今日一日太陽に覚めそして寝る

かすむ富士陽光浴びてべテルより

33の番号多し睦月暮

○帰路

牧之原かまぼこ匂う冬一日

夕陽落ち残影のある冬一日

点々と灯影彼方此方冬の道
  (四四句、幸せの句)



俳句 神の家訪問 Copyright 生田 稔 2009-01-19 14:44:23
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