こぼれる光に
百瀬朝子
それは絶望の暗闇で光を放つ球体
哀しみで覆われたその隙間
微かにこぼれるまぶしい線を
希望と名づけた楽天家
平和を願って永遠に
眠る寸前の出来事か
ほくろとえくぼを添えた笑み
懐かしさを運ぶはセピア色
記憶はモノクロ
忘却を嘆く者
破裂寸前の風船抱えてる
壊れた心のかけら拾い集めても
離れ離れの二人には残酷に
空から滴るセピア色が記憶を染める
形を失い、色を変えたその過去に
戻ることはできない
それでも光は
隙間をぬってこぼれるから
隙間をぬってこぼれるから
僕らは明日も生きられる
こぼれる光に生かされている