丸井血風録
猫道

ゼロ ワン ゼロ ワン ゼロ ワン ゼロ ワン

万物は0と1で出来ているとどこかで聴いたが信用していない。
地球が丸いのも嘘。けれど、新宿は0と1でできているのは本当。
にょきにょきと、生えてくる、例の、金貸し、ビルディング。

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ある晩、黒服にサングラスの男が夢枕に立ち、
僕にレッドカード掲げるとこう言った。
「丸井の赤いカードはお客様の返り血で赤いのです」
退場を勧めながらも逃がさない迫力。不条理。
「てめぇそれでも審判か」

ふと気がつくと、
周囲を何万何千という審判達が取り囲んでいるではないか。
赤いヘルメットに白ペンキで書き殴った丸井の文字。
おいおい。だみ声で。おいおい。タオル振り回し。
おいおい。ここは横浜レゲエ祭りか、アメ横かっての。



OIOIOIOIOI !(オイ!オイ!オイオイオイ!)
OIOIOIOIOI !(オイ!オイ!オイオイオイ!)

満員電車みたいな物欲の津波が僕を巻き込み、
いつの間にか財布には赤いカードが入っている。

PPFMカットソー オンボードTシャツ タケオキクチニットキャップ
モルガンサングラス ボイコットサンダル
 
にゅるりにゅるりと脳内に入ってきて、
中国産うなぎの如く、僕の知らぬところで入ってきて、
じくじくと、栄養、吸い上げる。



ちゅうううううー。ちゅうううううー。
生き血を啜った丸井はぐんぐんと伸び、
やがてはその高さ、333mの勃起。
その昔、尖りたい魂が男の手をポマードに向わせ、
リーゼントのタワーが林立。
テレビ塔に展望台つけて登って何が楽しいのか僕にはよくわからない。



ちゅうううううー。ちゅうううううー。
そうこうしてる間に生き血を啜った丸井はぐんぐんと伸び、
やがてはその高さ、3776mの勃起。
山より高くて買い物が困る。結局、みんな丸井に住む。丸井に住む人類。



ちゅうううううー。ちゅうううううー。
そうこうしてる間に生き血を啜った丸井はぐんぐんと伸び、
やがてはその高さ、8848mの勃起。エ・ベ・レ・ス・トー!!!



ゴゴゴゴゴゴゴゴ ゴゴゴゴゴゴゴゴ
ゆっくりと音をたて、ビルディングは崩れ始める。
おいおい。僕は物欲のせいで死ぬるのか。
ゼロワンゼロワンと大書されたパラシュート開き、人類皆飛び降りる。
崩れる物欲の巨塔に、散らばる無数のパラシュート。

ゼロ ワン ゼロ ワン ゼロ ワン ゼロ ワン

ああ、確かに万物はゼロとワンで出来ているのかもしれないなぁ
なんて思いながら、落ちてゆく僕。
すぐ隣をモスバーガーの店員が
「そのままでけっこうです」と言いながら落ちてゆく。
おいおい。この期に及んでサービスですか。
すぐ隣をデニーズの店員が
「いらっしゃいませデニーズへようこそ」と言いながら落ちてゆく。
おいおい。この期に及んでサービスですか。



落下しながらの夕食の支度。落下しながらのテスト勉強。
落下しながらのセックス。落下しながらの会社勤め。
落下しながらのキャンプ。落下しながらの選挙。落下しながらの歯磨き。
そのうちパラシュートが燃え、やがて地面に激突して、
赤いカードみたいな真っ赤な染みになるまで。

落下しながらの夕食の支度。落下しながらのテスト勉強。
落下しながらのセックス。落下しながらの会社勤め。
落下しながらのキャンプ。落下しながらの選挙。落下しながらの歯磨き。
そのうちパラシュートが燃え、やがて地面に激突して、
赤いカードみたいな真っ赤な染みになるまで。



落下しながらも人の目を気にする。落下しながらも冬服が欲しい。
落下しながらのスポークンワード。落下しながらも新宿で叫ぶ。
落下しながらも。落下しながらも。落下しながらも。落下しながらも。
落下しながらも。落下しながらも。落下しながらも。落下しながらも!!!

そのうちパラシュートが燃え、やがて地面に激突して、
赤いカードみたいな真っ赤な染みになるまで。



「丸井の赤いカードはお客様の返り血で赤いのです」



ゼロ ワン ゼロ ワン ゼロ ワン ゼロ ワン

万物は0と1で出来ているとどこかで聴いたが信用していない。
地球が丸いのも嘘。けれど、新宿は0と1でできているのは本当。
にょきにょきと、生えてくる、例の、金貸し、ビルディング。

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自由詩 丸井血風録 Copyright 猫道 2009-01-17 00:38:35
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