夜 8:00時と10:00時の暗さについて
アハウ

そして漆黒が
空に満ち始めると
遠く街が瞬きだす

まるで天空が降りて来たように

8:00時の夜は
昼の活動のざわめきが覚めやらぬ
フラスコで取ると浮遊物で濁った液体
蛍光灯の下で影のできる
闇の分離できていない
騒ぎ立つ液体

簡単な夕餉を終えた後
一杯のコーヒーを楽しむ頃
8:00時の夜は始まっている
冬晴れの下の沸騰するような諸活動
魂のフラスコの液体はガスバーナーの
煮沸から外されたばかり
昼間の印象が心に余韻として揺れ残っている

ふぅーと溜息をつくと
無意識に本に手が伸び
活字に目を落とす
濁りの夜に白い羽根持つ魂が飛び出す

書物よ 活字よ 語れ
今日は……

聞いている 書物を

ふと目を上げて
ガラス窓から外を見ると
木枯らしに木々は揺れている
音とて 無く

読書の持続時間の中で
魂の私は
純粋に驚愕し 喜び 悲しみ 笑う
書物に世界に浸りきる 悦楽に酔う
肉体は暖かな部屋にいて炬燵に入り
ミカンを二つばかり食べた

夜が深まる

10:00時の夜は
夜の始まりの夜
聖なる夜
鎮められた暗闇に
家具らが静かに語りだす
物質という物質の秘かな営みが浮き上がってくる
夜の秘密の扉が開き始める
血清と血沈の聖なる分離
蛍光灯下に昼間の熱き血潮は
沈められ静かに聖なる夜を分離する

8:00時から10:00時までの
清められた夜を獲得するまでの儀式めいた2:00時間で
「魂の自由」を確実にする読書に捧げた
黄金の時
刻々 深まってゆく闇に
金色に輝くブッタの像が出現している

蛍光灯の明かりが
深まる夜を照射して

窓から冬の空間に漏れてゆく


自由詩 夜 8:00時と10:00時の暗さについて Copyright アハウ 2009-01-15 21:27:22
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