雪々
木屋 亞万

床々黒くリノリウム
歩けばかすかに沈む気配
二人寄り添う足跡が
床を静かに押していく
朝一番のアクアリウム

雪々降るのは冬の常
信号ごとに傘を揺すれば
二つの山で雪崩も起きる
立ち止まって心を澄ませば
確かに届く雪の降る音

ゆくゆく雪は高くなり
11時過ぎには飯を食う
蕎麦の温もり、出汁の味
曇る眼鏡を笑う口紅
傘乾いても話は尽きない

行け行けバスは山の奥まで
無理して買った別荘は
最寄りのバス停から1時間
雪に埋もれて半冬眠
掻いて下ろして雪の山

往こう往こうか春が来るまで
暖炉に薪をくべては笑う
話と話の幕間に降りる暗闇
その底に滑り込むのは雪の音
踏み荒らした二人のアートを
蒼く蒼く地塗りしていく


自由詩 雪々 Copyright 木屋 亞万 2009-01-14 00:41:05
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