百鬼夜行詩 <4>
nonya



木魅 (こだま)


「好きだ」
溢れ出した想いを返せないまま
あなたは土に還り
わたしは朽ちることもできずに
「好きよ」
抱えすぎた言の葉をざわめかせながら
夜毎 すすり泣く





猫又


痩せていくあなたを見るのは辛いんだけど
あなたの精気が好きでたまらないの
今夜もあなたの上にまたがって
二つに割れた尻尾を振りながら
あなたの唇を何度も吸い上げるの
夢の中でのわたしはとびっきりいい女
あなたは欲を燃やして命を灰にしていくんだわ







自由詩 百鬼夜行詩 <4> Copyright nonya 2009-01-12 10:11:24
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