ささやかな
いねむり猫


ささやかな行いが
悲嘆くれる人に ふと 息をつけるやさしい椅子となり
父母を失って泣く幼子の 風避けの布となり
飢える人のための 温かい一食となり
あるいは 氷河の溶ける速度を 一瞬遅らせる
そんな ささやかな幸せにつながるのなら

    だれもがそれを祈っているはず

ささやかな行い そのために
まっすぐなあなたは 
自分が無力であることを知っている あなたは
きっと 捧げるように 自分の時間を差し出すでしょう

その行いは やがて
小さなひびが ダムを崩壊させるように

あなたが 普段の生活を脱ぎ捨て
前と同じように無力だけれど むき出しの自分として
あなた ただ一人に呼びかけている この世界にかかわる
そのようなあなたの ささやかな生まれ変わりに 
つながっている

    きっと


自由詩 ささやかな Copyright いねむり猫 2009-01-11 12:47:07
notebook Home 戻る