朝雪
たりぽん(大理 奔)

妙に窓が明るいと思ったら
昨晩降り続いて街を覆った雪が
朝を反射していました
氷ノ山ひょうのせんの上で薄灰色の雲がただよい
若桜わかさの木々が瑠璃細工になり
冷たく寒い朝が、まぶしいのです

  泡立つ岸壁の方向に吹く
  風が街路樹を刺します
  あたたかいものを
  何ひとつ見つけられないというのに
  この朝は、なんと明るく美しいのでしょう

霊石山れいせきざんから三羽の鳶が
獲物の温もりを探して
低く、ゆっくりと旋回していきます

まぶしさに切り抜かれた
影絵の街では
軒下に逃げ込んだ夜のなごりを
薄茶色い野良犬が
ふるえながら貪っています

  星の見えない夜をくぐりぬけて朝は
  この朝は、なんと明るく
  美しいのでしょう


  




自由詩 朝雪 Copyright たりぽん(大理 奔) 2009-01-11 11:10:02
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