海面上昇7
rabbitfighter

言葉が 膝を抱え丸くなったまま 産まれない まだ

非結晶の 硝子が こっそりと流動する

それは秘密 だよ

いつか 懐かしむだろう 君を 君の淹れてくれたココアを 君の唇の湿度を いつか その情熱を 隠されたり 溢れたりする 情熱を チョコレートを 君は誰だ 君たちは誰だ 空気の冷たさ 震える体 愛し合ったこと 愛したことを 

空白を 空白のまま 何も埋めないで 涙で 小便で 血液で 唾液で 埋めないで 硝子を 流し込んで ずっと 空白のままで

押し潰される 様な 低気圧の下で 僕たちは 毎日 を 暮らして いく
上昇する 海面 のように不安は引くことなく せり 上がる

浮かんでは消える物語
心の中で殺した思い
覗き見た人々の生活
とても悲しい硝子

いつか 君を 懐かしむだろう 君の思い出と 君の面影を
胎児が 頭蓋骨の中で くるりと 一回りする


自由詩 海面上昇7 Copyright rabbitfighter 2009-01-11 02:46:28
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