けろ
恋月 ぴの
やめてけろ
ひと恋しさにちゃちゃ入れた
わたしの思いを
やんわりと断つように
春の兆しは白い肩口の奥へと隠れた
厳しさだけではない冬の素顔を知ってから
流されるのとは異なる
自らを委ねきることの安らかさを覚え
灰墨色に沈む渓谷の氷柱にさえ
恋の歓びを見出してしまう
揺るぎ無いものほど
穏やかに
そして。その意志に導かれるようにして
わたし
柔肌のぬくもりを無惨と犯されて
したたる血の色は
鮮やかに
それでいて物憂げな表情に支配されている
けろ
そのことばにあなたの荒い息遣いを思い
命じられるまま肢体を開けば
それは変えようの無い定めなのかと
疼く傷心の深さは