森の娘
ミゼット


美しいその森は
青く
半透明の管が這っている

踏み入れると
足の下で
古い管が壊れる音がする

管の中には
森の血液、シチューの色をしたものが流れている

それは遠い山の中から来た物や
海の深くからとってきたもので出来ていて
人が触ると指が溶ける

そうして何人もいなくなった

そうせよと決めたのは
森を作った男の娘であるが
娘は存在しない
そこに
まだ
最初から

森を作り上げれば
娘はやってくるのだと
男はそう信じていたが
娘に出会わないまま老いて死んだ

森の地面は暖かい
体温だけでもやってきたのだと
そう思えば
娘の声も聞こえたはず

全てが形を持っているとは限らない

森は世界のあらゆる場所から
シチューを作り続け
冷えたシチューは管になる

星の全てが森になると
それはどうやら娘の形をしており
目覚めた彼女は
近くの太陽をニ、三口に入れると
次の次元へ去っていった


自由詩 森の娘 Copyright ミゼット 2009-01-09 22:14:19
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