パブリック・ポエトリー
掛川かるやと愉快な外人たち
あからさまに媚を売るエレジー
いい加減に反骨するジレンマー
二袋追加してプリーズ
またしても跳びはねるその日
一袋目でフロウ
当たり前の風邪のふり
レディとろけてしまう
一人じゃしかたもなく
ここ いつも通り幸福が素通りする
レイジー・アヴェニュー
通りすべてがリブウィザウトユー
誰も手をあげない否定形のエス
スクリューする湾曲線の先 目線つたって
子午線にクロスする 125°のアフターヌーン
回転する視界を押さえつけギミー
マチルダとワルツ 落ちていく昼日中
乾かない餓えの群にだけ 突き吹いてくる埃まみれのトラフィック
吹き抜ける砂塵に片目で語る マリィの青い煙草の煙
道をたどる途中 声をかけた
敬虔なシスターのあの服のほつれ
首にかかる 手垢で黄ばんだ象牙のロザリオ
マリヤの 茶色に錆びた甘い涙1グレーン
スプーン一杯の クリストの当たり前に苦いスパーム
かろうじてたっていられた午前三時
マルキドじみた啓示 細い犬歯で 鞭と刺さる
サイレンにすら寄りすがる 犬畜生の情念にも似て
ステンドグラスから毀れる 虹色の貝殻星 地下に降る
シング・スワンプ 町外れ
歪な木々の雑木林 その真ん中に口開いた
仄暗い沼地に届けられた灰色と黄色
モダンでシックなストローベリー
爪の裏側にこびりつく 蜘蛛色の果肉 ナイフで削ぎ落す
ブラウンのデポジット 甘苦い やはり上物
ヨナスンはいつも叱られる にきび面の太っちょミニスターに
老いたジャンは言った
「彼の天使のように熱い裸に 一度だけ 接吻したかった」
生前レイモンドは言っていた
「干乾びた野苺の その造形美は認めるよ
ただ その味だけは想像するに留めておきたい」
キッズはいつだって 抱き締めていた
選りすぐりのガラス玉 丸みを帯びた虹色の貝殻
水たまりみたいに七色
虹色の 赤だけ 輝いてる
まだ名の無い 仔猫が一匹 轢かれてた
路上
あなたにとってわたしってなんなの
夢のような口調親指でプッシュ
後ろからとびかかるシモーヌにキッス
そうさ マイガール
溢れかえる すれ違いの只中
まばたきのあいだにリトルタウンが消え
タワーはたよりなく風にゆれる
こうして この街
誰ひとり ふり向かず うつむかず
いくんだ 瞳とじて
ボーイズ&ガールズ
踵のスティールがジャムに染まる
はるか向こうのサンシャイン ベイビー ゴーグルをかけていって
エンジンはOHC単気筒に限るね
誰かへの気持ちと 同じように シンプルにね ビートが聴こえるだろ?
オイルは暖めておいてくれ コーン・スープのようにね
おいらのあだ名は ロケット・ロン 速いぜ おいら
なびくもみあげキュートだろ? クラッチ繋いで アデュー
去っていくときのとっておき
その決意を ガールズに任せたまま
ジェリービーンズのスカートひるがえる
テイクミーアウェイ ボーイ
白い岸壁までの土の道 青いヴェスパの後
いつもおんなじモッズコート 汚れてるのに抱きついて
「行先は気の向くままに」ってのもいいね ガール
君のクルーに 伝えておいてくれ
「わたし もう帰らない」って
鐘の音と一緒に 象牙色のクロイスター駆けぬけて
輝く港へ続く坂道 駆けおりる