すこし優しくなれるのは
アズアミ

駅のホームで
すこし優しくなれるのは
いつもとはちょっと違う場所で
電車を待っているから

いつもの道で
すこし優しくなれるのは
切りとられた空が
それは
それは青かったから

昼下がりに
すこし優しくなれるのは
時計の針が
てっぺんを過ぎて
背中を丸めたから

夕暮れに
すこし優しくなれるのは
きんいろに染まる街が
模型のようで滑稽だったから

真っ暗な部屋で
すこし優しくなれるのは
自分のスイッチも
ついでに切ってしまったから

明け方過ぎに
すこし優しくなれるのは
物語のはじまりを
実は、密かに
待ち侘びているから



自由詩 すこし優しくなれるのは Copyright アズアミ 2009-01-09 13:44:43
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