潜行する暴力性
kauzak

正月の2日から差し歯の小臼歯が取れる
それもお菓子を食べようとしてポロッと
余りにもあっけなく

松の内のハプニングゆえ開いている歯医者もなく
週明けの月曜日
診療しているのか少し不安になりながら
かかり付けの歯医者に予約の電話をすると
その日の夕方に予約時間を選ぶことさえできた

取れた差し歯を受付で預けて
待つほどもなく診察室に呼ばれ診療台に座る
差し歯と口の中の状況を診たドクターから
意外な一言が発せられる

クラウンと土台をつなぐボルトが折れてますね

そんなものが折れるほど硬い物を噛んだ記憶もなく
にわかに信じられなかったが
確認のため撮られたレントゲン写真には
確かに折れたボルトの様なものが写っている

それを驚きと不気味さが混じった気分で見ながら
小学生の頃に自転車のクランクの軸が
この差し歯のように突然折れてしまった事
そしてその時の愕然とした気持ちを思い出す

ドクターはよくあることのように
歯根に残ったボルトと土台を削って
新しい土台を立てましょうと
エアタービンのスイッチを入れた


自由詩 潜行する暴力性 Copyright kauzak 2009-01-07 23:56:14
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