不可視光線
ローザ

あまりにも物悲しいな、 と思いました。



すすきが潤いのない身を擦らせて嘆いております。
彼らはあんなに集っているのに 何を嘆くのでしょう。
あんなに柔らかな太陽の枯れ色を身に纏って 何を嘆くのでしょう。


その脇をゆるゆると穏やかに流れる 川は


青緑や
灰色や
クロムグリーン
エメラルドグリーンに ぴかぴかと鱗を輝かせ
S字にその身をくねらせ
暖かな陽や 
川べりを埋める砂利と
冬の日中の凛としていて やわらかい空気と
ささやかに その運動を
彼らの日々を
戯れで片付けられぬ動作を続けているのに


それらを囲う 空は


指ですくいとったら
さわやかなソーダの酸味と クリームのとろりとした食感を残しそうな
そんな色をしているのに

ああ 雲も


まるで記号化したかのような 滑稽なかたちでもくもくとしております。
大きな雲が 親分なのか はたまた ただの親なのか
小さい雲をひきつれて うっとりとただよっている。





悲しむ要素などないでしょう?


やわらかな広がりのある田舎の景色そのものなのですから。


マグリットでもなけりゃ、面白くなど描けないほどの景色なのですから。




このファインダーを通さない限りは。

だから、


残念ながら 皆様にはお見せできないのです。


自由詩 不可視光線 Copyright ローザ 2009-01-06 11:50:28
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