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山中 烏流
一番星を探す
夕日に隠れた雀が
さえずりながら帰っていく、手のひら
親指から終わるあなたは
小指から始まるわたしの声に
ただ、耳を貸している
紫が雲に映り
どちらのものでもない呼吸が
ひたすらに虚空を冷やしていく最中
踏み潰す柿の音が響き
あなたはいつもより、遠くを見る
触れようとした指先が
あなたの纏う全てに沈んで
見つめる、という行為すらも
海であることを知った
何かにためらうわたしの頬を
小さな影が過ぎて行く
見上げた先で遊ぶのは
わたしによく似たくらげと
あなたによく似たいるかだった
一番星を探す、