百鬼夜行詩 <1>
nonya



ろくろ首


それにしてもあなたを待ちすぎました
わたしの断ち切れぬ想いはあの日の
あなたのうしろ姿に縋りついたままで
身体だけが狂おしく軋みながら
いくつもの夜を越えて来たのです
わたしの長く伸びすぎた青白いうなじに
ほのかな色が灯るのはいつなのでしょう





傘化け


温かい雨 冷たい雨 受け流して
温かい手 冷たい手 握られるまま
汗ばむときめき 凍えた溜息 聞き逃しながら
閉じられて 忘れられて 生きています
玄関の 傘立の 一番奥で
雨よりも あなたを 待っている
わたしの たったひとつの目は 奥二重です





自由詩 百鬼夜行詩 <1> Copyright nonya 2009-01-05 13:26:24
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